ミッションをばらしてあまり悪いところがないので、消耗品などを交換して組み立てます。
レストアの時にはばらさずに塗装したので、今回は基本どおりに塗装します。
まず、古い塗装をはがします。市販の剥離剤を試みましたがまったく取れません。仕方ないのでパーツクリーナーで油を落とし、サンドブラストしました。
ブラストすると見る見るさびてきます。写真右のプロ用の洗浄器で粉を洗浄し、パーツクリーナーで乾かし, さび止めを塗ります。
ベルには見慣れない穴が開いています。左斜め上にあたる位置です。そう、クラッチが張り付いた時に前オーナーがはがすために開けた穴です。
ホームセンターで購入した、ウレタン塗料のグレーと青を混合して、ロータスグレーに近い色合いを目標に刷毛塗りしました。最近の塗料は金属用でも水性が主体でとても扱いやすい印象でした。2液性のウレタン塗料との耐久性の比較は今後の課題です。
メインシャフトにギア類を元通りに組んで行きます。整備書どおりにサークリップで固定します。シンクロリングに違いがないことをはじめて知りました。すべてのパーツにミッションオイルを塗りながら作業します。
メインシャフトを入れる前にメインケースにはかなりの細工を行います。まず、バックギアをもとのとおりに挿入固定します。このときの注意は、写真の→で示したシャフトをたたきこむときの頭の部分の角度です。後で分かりますが尻尾の部分に切り欠きがありそこに、シャフトの頭が丁度入り込む様にして固定されるからです。
カウンターギアは写真のように、メインシャフトを入れた後に固定するので、後で吊り上げられるように紐を通しておきます。写真にはありませんが、カウンターギアのベアリングは、再び、一本ずつモリブデングリースで挿入し仮固定されています。
おっと、忘れないように、底に磁石を入れておきます。
ファーストモーションギアを挿入します。このギアは大きなサークリップ状のパーツで固定されますが、このままでは奥には入りませんが前には抜けてきます。抜けないように”天狗の鼻”を取り付けますが、その前に”天狗の鼻”にフロントのオイルシールを挿入します。
ここでは、もう一つ秘訣があります。写真の→に示した、3本のレールが通る穴の左右の部分にシフトロックを予防するするための軸を上手に入れておく必要があります。これを怠ると、シフトチェンジがロックしてしまいます。
メインシャフトを挿入します。メインシャフト先端にファーストモーションギアとの間のベアリングを挿入し4速のシンクロを落とさないように後ろから入れます。
その後、写真のように、準備したカウンターギアを持ち上げ、スラストワッシャーを落とさないように注意して、しかもバックギアも良い位置に誘導して、カウンターギアのシャフトを打ち込みます。このときもシャフトの頭が良い方向になるように注意が必要です。この作業は、”神業”に近い物があります。
尻尾の最後部にオイルシールを打ち込みます。
比較的簡単な作業のように見えますが、オイル漏れが無いように、挿入部を綺麗にして、シールを真っ直ぐに打ち込むのにはかなり神経を使います。
尻尾をメインケースに固定します。この作業で初めて、バックギアやカウンターギアのシャフトが後ろ側に抜けなくなります。豆知識として、固定用のボルトはケースを貫通するので、オイル漏れ対策として、オイルシール剤を塗っておくほうが良いそうです。
シフトフォークをそれぞれ1,2速用、3,4速用、バック用3箇所にいれ、シフトレールを通して固定します。複雑な形をしているのでとっつきにくいのですが、やってみると、そのようにしか入らないので比較的簡単です。この固定はねじロックとワイヤーロックの両方を行います。
蓋をして一応、エラン用としてはほぼ完成です。