Lotus Twin Cam Engine のチューニング (その5)

 パーツが概ねそろったので、エンジンの加工を開始します。

ポート

ポート ポート

(ポート)

 購入したバルブにあわせて、内燃機屋さんにバルブシートの打ち換えをしていただきました。
 これからが大変です。まず、このシートにあわせてポートを研磨します。写真のように作業前はシートとポートの間に約1mm程度の段差があります。

ポート

(ポート研磨)

 プロはリューターでガンガン削っていくのでしょうが、素人の管理人には危険があるので、作業効率は極端に低下しますが、慣れている40番のサンドペーパーとリューターを用いて少しずつ削っていきました。
 排気側ポートはカーボンの付着が高度であったので、240番程度のペーパーで表面を全体に研磨しました。これらの作業は、なべちゃんのご指導で、バルブガイドを抜いた状態で行いましたので、比較的容易に行えました。キャブ側のポートは40mmのままとし、エキマニ側も拡大していません。
 このあとは燃焼室側のバルブシートが少し出ているので、実際にカムやバルブを仮に組んで、シートの削り代を計測して可能な限り飛び出しを軽減する作業です。前述のように、レース用のステムの長いバルブを選択していること、カムフォロワーは薄いタイプ、バルブスプリングもレース用、カムはハイリフトなQ450なので、素人では無理。なべちゃんに依頼します。バルブのあたり面に傷をつけないように(傷が入ったら圧縮抜け? シートの打ち直し?)慎重に行う必要があります。

ブロック

バリトリ バリトリ

(バリトリ)

 作業開始に先立ち、形から入りたがる傾向のある管理人はエンジンスタンドを購入しました。チャップ師匠のご指導で、固定具の自由度が大きいタイプを選択しました。

バリトリ バリトリ

(エンジンスタンド)

 実際に作業するとわかるのですが、つるしの状態でエンジンを固定すると、支柱との隙間が狭く、フライホイールなどの作業は出来ません。実際にはプロ仕様のスタンドはもっと固定具の腕が長いのです。そこで、ナベチャンに作ってもらったのが写真のジュラルミン製のスリーブ。剛性の高いM10と3/8インチの長さ約17cmのボルトを用意し、腕を延長しました。左写真のスリーブなしのボルトがつるしの状態でちょうど良い長さボルトです。
 右の写真の意味がわかる人はたいしたもの。ロータスツインカムのブロック側には一部小さなスリーブがはいっていて飛び出しています。それをかわす逃げが作ってある様を示します。

 右の写真のような構成で作業を行いましたが、さすがに鉄相手の作業にはサンドペーパーは弱い。研磨用の砥石を主として用い、バリが大きいところは刃物を併用しました。鏡面にするわけではないので、一応の仕上げに40番のサンドペーパーを用いました。
 クランクのメタルは更新するので古いメタルを保護目的ではめたまま作業し、ジャックシャフトのメタル面やスラストベアリングの当たり面には触らないようにマスキングテープを施しました。
 この後、シリンダーのボーリングを内燃機屋さんにお願いし、帰って来たら外面の塗装に入ります。

ここで大問題発生!

 バリ取りが終わって、いよいよボーリングに内燃機屋さんに持ち込んだところ、先日なべちゃんが計測してくれていた問題が表面化してしまいました。
 83.5mmのピストンを用意していたのですが、シリンダーがなぜか楕円になっており、一部クリアランスが大きくなりすぎるところができてしまう由。すなわち、このブロックにはもうワンサイズ大きいピストン(83.65mm)が適合するとの判断になりました。
 ここが思案のしどころ。このまま、このブロックを使用すると仮定するとピストンを買い増す必要があり、83.5mmのピストンは不良在庫化します。

フルカウンター

(フルカウンター)

 そこで急浮上してきた期待の新人がこれ。ヤフオクで衝動買いしたフルカウンターのクランクです。これを使って、701Mブロックを手に入れて、83.5mmのピストンをそのまま使って理想のエンジンを作る案です。この場合、追加で購入する必要があるのは、ナロージャーナルのコンロッドとメタルおよび701Mブロックです。残されたパーツは、ピストンを買えば、ほとんどもう一機エンジンが作れる状態で残るので、老後の楽しみも増えるというものです。
 問題は、勿論、都合よく701Mブロックが手に入るか?

701M 701M

(701M)

 ここで強力助っ人登場。イヴェントのページでしばしば登場する中太さんです。彼はストレス解消にパーツを購入してしまう癖があり、ブロックも複数所有されている由。お願いすれば1機くらいは譲ってくださるのでは-------。恐る恐る、お願いすると、イヴェントにお誘いしていたご利益か、快く、「合うのを選んで持っていっていいよ。」と。
 フルカウンタークランクも内燃機屋さんで計測していただくと、修正可能な曲がりはあるものの、両方のメタルともに-20で適合するとのこと。ありがたく、新しいエンジンプロジェクトとなりました。

来た来た、追加パーツ

ナロージャーナル ナロージャーナル

(ナロージャーナルコンロッド)

 比較しないとわかりにくいのですが、QEDさんより購入したコンロッドです。

メタル ヘッドガスケット

(メインベアリング、ヘッドガスケット)

 同時に購入した親メタルとガスケット。日本語ではメタルですが、イギリスではベアリングで、クランクとブロックの間はメイン、コンロッドとクランクの間はエンドが付きます。ちなみにエンドベアリングはなべちゃん手持ちがあり、それを使用します。
 ヘッドガスケットもいろいろあるようですが、サイズで84mm用になりました。イギリスに注文したのにアメリカ製でビックリ。

 手持ちのクラッチカバーを加えて、ブロック、フルカウンタークランク、コンロッド、ベアリング、クランクプーリー一式はベアリング部の研磨とバランス取りの旅に出発です。

加工から帰ってきたパーツ

フルカウンター ヤキツキ

(クランク)

 曲がりの修正と、0.02インチ小さくベアリング部を削り研磨していただいたクランクです。
 購入当初は素人にはわかりにくかったのですが、この曲がりとベアリングの修正がなぜ必要であったかが、右の写真でわかります。2番のコンロッド部の色調が周囲と違うのがお分かりでしょうか?そう、一度焼きついたクランクなのです。ヤフオクで格安であったのがうなずけます。なべちゃんにははじめから分かっていたようですが、修正可能とのふれこみで出品されてはいたのですが、本当に再使用可能か不安があったわけです。あぶない、あぶない。

フライホイール フライホイール

(フライホイール)

 nomi号エランのエンジン作成時にバランス取りと軽量化を行ていたフライホイールですが、リングギアの磨耗あり、その交換と再度のバランス取りに出しました。写真左はリングギアが外れないようにイモネジを打ってある様子です。レース屋さんの芸はさらに細かい!
 写真右はなんだか分かりますか?通常6本留めタイプのクランクに固定するホルト穴は6個ですが、チューニングするとピンを打ってフライホイールの飛びを予防するのですが、フルカウンター相手ともなるとそのピンを2本打つのだそうです。

クラッチカバー

(クラッチカバー)

 写真では分かりにくのですが、クラッチカバーもバランスを取って、削ってあります。
 今回はレース用の加工を行っているショップに作業を依頼した由。それぞれのパーツ単体でのバランス取りと、それらを組んだ状態でのバランスをアイドリング程度の回転数と5000回転程度の2点で行う由。1万回転でも安全のための作業とのこと。

ブロックの塗装

塗装剥離

(剥離)

 写真のようなセッティングで古い塗装の剥離を行いました。
 師匠はエアー工具の”パチパチ君”を使われるそうですが、あいにく手持ちにないので、強力剥離剤とリューターのワイヤーブラシやヘラを使いました。

剥離 剥離

(剥離完成)

 何度も剥離剤を塗ってはブラシでこすってこの程度まで剥離しました。剥離剤はきれいに落とさないと次の塗装がダメになります。

サーフェイサー サーフェイサー

(サーフェイサー)

 素人マスキングをしてさび止めのグレーを吹きました。

塗装 塗装

(塗装)

 なべちゃんお勧めのはけ塗りで、ロータスグレーと思われる色を調色して塗ってみました。塗料ではエナメルが塗膜が強くお勧めのようですが、主力はプラモデル専用塗料メーカーのようで、自動車部品用にはなかなか手に入りません。ウレタンも塗膜が強くお勧めとのことでホームセンターで探してみると、最近は水性でウレタン系塗料が出ていました。有害物質の規制で水性塗料が主体になっているようでした。
 結構な凹凸があるので、小さめの刷毛で塗るのがコツのようです。私は子供が水彩画を書くときに使う筆を購入してみましたが、とても具合が良かったです。水性なので取り扱いも楽でした。
 余談ですが、ラッカー系の塗料はほかの系統の塗料との相性があるようで、私はホイールの塗装で一度大失敗しています。

追加のパーツ

ARP ARP

(ARP)

 パワーアップの秘策のためにネジ系のパーツを追加しました。
 左はフライホイール用のボルトです。ヒューランドなどの12本止めフライホイールの場合には頭の小さなキャップボルトがお勧めだそうですが、6本止めの場合には頭の大きいノーマルシェイプの強化ボルトがお勧めとの由。
 右はヘッドスタッドボルトのキットです。ヘッドボルトを廃してスタッドにすると強度が上がる由。

ARP ARP

(ARP、サーモ)

 左はメインキャップのスタッドボルトキットです。このキットではボルトやワッシャーが必要であった由。スタッドボルトは更なる強化のため少し長いものに作り直す由。乞うご期待。
 右はサーモですが、バートンさんに注文したらなんと日本製でした。バートンさんの名誉のため追加→4日でイギリスから届きました。

戻る

その4 その6
Main Menu