それでは、QEDのパーツでチューニングの構想をさらに深めます。
QEDのホームページに入ると、最近は非常に購入しやすいように工夫されています。
そこで、ピストンを探ると大きく2種類の扱いがあることが分かります。オメガ製とQEDオリジナルです。
QEDオリジナルのほうが廉価です。鋳造で圧縮もほとんどノーマルに近い由。オメガ製は鍛造で圧縮が上がるタイプです。ただ、このピストンは山が6mmあり、予定の圧縮比は 11.9 とのこと。少し高すぎます。かつては、ノーマルとこのクラスの中間の性能のピストンがあり、なべちゃんはそれを薦めてくれます。
そこで、ネットでかなり熱心に検索しました。現在(2012年4月)入手可能なロータス ツインカム用のピストンは、コスワース、オメガ、アキュライト、JE、QEDの5種類であることが判明しました。残念ながら AE は生産終了とのこと。コスワースは圧縮比 12.0 で純粋にレース用なので除外。QEDはノーマルなので除外。オメガ、アキュライト、JEはそれぞれノーマルとハイコンプレッションの2種類あるようで、ノーマルは除外。オメガ、アキュライト、JEのハイコンプレッションタイプが候補になります。ネットの写真、オメガの現物、TMレーシングさんに問い合わせたJEピストンの性格など総合して考えられるのは、どうも製造元は同じでそっくり!と言うのが印象です。どれも同じようなものなら、一番安いのはオメガ。
オメガ製で決まりでしょう。83.5mmの丁度良いサイスがあります。圧縮比の調節のためには、ピストンの山を削る予定です。
そこで、ヘッドの加工がほぼ終了した時点で、最後の計測として圧縮比を計測し、ピストンの頭をどのくらい削るか決定します。
写真左はビューレットと言う理科の実験器具です。正確に50ml以下の液体の容量が計測できるシリンダーと滴下するための細い先端と栓でできています。写真右のごとく、バルブ、プラグ、アクリル板で燃焼室を密閉し、アクリル板に開けた小さな穴から空気を抜きつつ、液体を燃焼室に滴下し満杯の時の液体滴下量で燃焼室の容積を求めます。用いた液体は何とブレーキオイルです。結果、4個の燃焼室ともに36mlでした。
圧縮比を計算するためには、ピストンペッドの飛び出し部分の容積の値が必要です。
新品のピストン、ピストンリング コンロッドなどを組み、グリスで気密性としブロックに装着しました。ピストンをデッキぎりぎりまで下げて。燃焼室のときと同様に計測します。
燃焼室36ml、ボアを83.3mm、クランクのストロークはノーマル、用いるヘッドガスケットの径85mm厚さ1mm、圧縮比を理想的な11.8程度に設定し求められるピストンヘッドの飛び出し部の容積は、なんと 1 ないし 2 cc程度です。言い換えると前回用いたAEのピストンで丁度良い程度であった!
これは大変だ、燃焼室をできるだけ大きくして、ピストンヘッドを削る量をできるだけ少なくしてもかなりの量を削る必要があります。オメガのピストンは非常に高圧縮になるように作られていることがよく分かります。コスワースのピストンがオメガほど山高でないのが理解できます。逆に、私のヘッドは既に面研されていて、フラットなピストンでかなりの圧縮になるようにチューニングされていたことが分かりました。というか、チャップ師匠が前回0.8mmの面研を指示された理由がよく分かりました。
QEDのバルブのラインナップはかなりシンプルです。
まず、インテイク側は2種類、スプリントバルブ 1.56 in (39.62mm)と直径1.625 in (41.28mm)のもの。不思議なことにデーブ・ビーンさんのステージV、Wと同じです。
エギゾースト側も2種類、スタンダードバルブ 1.32 in (33.55mm)と1.4in (35.56mm)。これはデーブ・ビーンさんのステージV、Wより少し大きい。
ステムの長さは長いものとスタンダードで選択可能です。ハイリフトカムを選択すると、必然的にステムの長いものが選択されます。
バルブスプリングなどは便利なことにセットものが用意されています。そこで、ヘッドのチューニングを進めるために今回購入したのが上の写真のパーツです。
QEDのカムのラインナップは面白い。
OEDさんのカムはリフト量で名前が付けられいるようです。開度は名前からは分からないので、どのカムがチューニング度が高いがすぐには分かりません。
Q360(ノーマルリフト、135〜140馬力/6500回転)、Q420(ハイリフト、145〜150馬力/6500回転)、Q440(レース、180馬力/5000〜8000回転)、Q450(160馬力/7000回転)、Q460、Q46V。
なべちゃんによると、Q450がお勧め。開度がQ440より小さいので馬力は少しさがるけど、リフトが高い分低回転域でのトルクが大きいとの事。「ポートをきちんと加工したら160馬力程度は出るよ。」と。これで決まり!
何とか自力で組めること、レースはしないこと、前回の”140馬力仕様”を下回らないこと、手に入りやすいパーツを選択すること、などを条件にし、これまで述べて来たことをまとめると以下のように結論されます。
オメガ 83.5mm | 1.625 in (41.275mm) long stem | 1.4 in (35.56mm) long stem | Q450 |
問題点としては、エンジンヘッドがこのようなモディファイのための加工を受け入れることが出来るか否かです。
某オークションを検索していると、後期ヘッド一式が格安で出品されており、匂いをかぎつけたチャップマンおじさんも、出品写真を見て「よさそうだ。」ということで、めでたく落札。nomi号のヘッドは前述のごとく、そもそも、ストロンバーグヘッドであったものを前オーナーが中古の初期ウエーバーヘッドに置換されていたものなのでどちらを使うか、詳細に検討しました。
落札した後期ヘッドはまったくのノーマルであること、また、初期ヘッドはなぜか、バルブスプリングが収まる部屋がすでに加工されて深くなっており、レース用のスプリングを用いるのに好都合であることがわかりました。強度的には後期ヘッドに軍配が上がりますが、QED450カムは比較的低回転重視で7000回転回ればよいカムなのでおそらく問題ないであろうと考えられました。
ということで、初期ヘッドをバルブシート、バルブガイドなどの加工に内燃機屋さんに外注しました。
なべちゃんにアドバイスを受けながら、今回、置換する部品は以下のとおりです。すべてQEDで購入しました。
これらは定番ですね。
カムフォロワーはスタンダードと薄いのとがあります。薄いのにしました。メタル類はメインとコンロッドのメタルは交換し、カムメタルとジャックシャフトのメタルは続投していただきます。回転数が半分なので。
バルブガイドはスタンダードサイズの真鍮製、眼くら蓋の大はなべちゃんの手持ちがたくさんあるとのことで小のみ購入しました。バルブシートは内燃機屋さんが作るので購入せず。
コンロッドボルトはちょっとがんばってブランド品を、メインキャップボルトも交換、そのほかのボルトとしては、カムキャップのナットとフライホイールのボルトも交換します。
LTCEのチューニング (その5) に続きます。