エランではレストアの中心的な作業ですが、セブンでは作業的には脇役です。
アーリーケータを選択し、クラシックな雰囲気を出したいので、ロータス セブンのシリーズ3を手本にします。
ケータではロータスツインカムを無理なく搭載するためにボディの全高が増やされています。ノーズを交換すると必然的にボンネットも改良するか、ワンオフでの製作が必要になります。エンジンのマウントに苦労するわけですが、この部分はプロにお任せ。
ノーズを比較すると、シリーズ1は一見フォーミュラのようにとても低い、シリーズ2と3はほとんど同じ形状で少し高くなります。並べてみるとケータははっきり高い。
購入しようとネットで検索しましたが、シリーズ2,3用のノーズコーンはなかなか売り情報がありません。イギリスのサイトで見つけましたが、なぜかメールが不通でした。仕方ないので、恐る恐る中太さんが所有されているノーズコーンから自作しようかと、模りをお願いしたら快く了承してくださり、大作の作製に取り掛かりました。
模りの最初の仕事は原型の掃除です。ズースファスナーやナンバープレート、前の網などをはずし、ノーズバッジやシール材もすべて取り除き、糊をアセトンで除去します。
どうすれば型が抜けるか(抜き勾配というらしいです。)を考えて、今回は型を保存し、数回は製品を作る計画のため、3分割で型を起こすことになりました。右のウーパールーパーのような写真は、分割ラインの仕切りを油粘土で固定したところです。ここに離型剤を塗ってファイバーを貼り、型をとります。前、左右と3回同じことを行うことになります。仕切り部分は最終的にはボルトナットで接続されます。
前側は複雑な凹凸があるので丁寧にファイバーを貼り、まだ薄い状態ですが、建てりを取り除き次の作業に移りました。厚みを増す作業は追加で可能です。
後ろ部分を真ん中で半分に分けるように新たに建てりを作ります。今回は前のパーツとの境目は前回作製したファイバーによる建てりになります。油粘土で作製した支柱など参考になりますか?運転席から見て右半分を先に貼ることにになります。
必要最小限のファイバーの張り込みが終了しつつあります。製品を1回のみコピーするのであればこの程度でもよいそうですが、数回のコピーに耐えるように厚みをまします。
一応の張り込みが済んだところで離型に移ります。写真左のように、離型に先立ち建てりに8mmの穴を開け(黄色↓)、ファイバーで接着されている部分を切ります(赤↓)。写真右は作業が完了した様子です。
ヘラを差し込んだり、プラスチックハンマーでたたいたり、場合によってはエアーや水を間に注入したりして離型を進めます。前部分が外れました。
後ろ側の左右を外します。まずまずの模りができました。
再び本体にはめて、ボルトナットを締めてみます。これでようやく安心です。これからはファイバーを重ねて強度をアップします。
後はエアーを噛んでもお構いなしにファイバーを張り込みます。写真は返りの部分も丁寧に補強した様子です。右の写真の↑は補強のために入れ込んだ樹脂のモールです。
補強もほぼ終了しました。元型を除去し、薄いところをチェックし、内面の不整をパテで修正します。
模りの完成です。製品の作製に移ります。
まずは型をバラバラにして、貼込難い淵の部分をしっかり貼込ます。組み立てると貼込が困難なので薄いマットを重ねて、3プライ程度の厚みを目指して貼込ます。
全体的に3プライ程度の張り込みを済ませ、離型しました。やや強度不足の部分もありましたが、ライトウエイトを重視する分には丁度よい出来です。
補強を追加し、パテを入れました。前のアミやノーズバッジ、ナンバープレートの取り付け、ズースファスナー取り付けなどの穴を準備して塗装に行きます。
写真左は小物を取り付けられるようにした図。写真右はケータとロータスのノーズの違いを端的に示した図です。ロータスのノーズは長くて角度がなだらかなのがよく分かります。ケータはかなり角度が急になっていて、ノーズの後端をかなり高くしていることが分かります。
実際にシャーシ側の取り付けステーを修正して、ズースファスナーを取り付けてノーズを装着した写真です。アルミパネルとの”ちり”が合いません。写真の部分は修正が必要です。これ以外にも強度に問題があるところの補強を行います。
なべちゃんの指示通りに修正します。
塗装はプロにお願いしました。帰って来た直後の写真です。実際に装着するには、あちこち修正が必要でしたが、何とか綺麗に装着できました。
ノーズの取り付けはご存知のようにズースファスナーですが、なべちゃんによると、クラムシェルフェンダーを取り付けるとドライバーの柄がつかえて作業ができないそうです。そこで、安物のコインドライバーを切って極短のコインドライバーを作ってみました。対称はスナップオンの正統派ズースファスナー用ドライバーです。
ロータス時代のボンネットに関する知識は持ち合わせませんが、ケータでは後期型でルーバーの数が増やされています。最新のケータはかなり大胆にルーバーが切られて新しい雰囲気です。
Alligator 号では、勿論、前期型のボンネットがついています。ロータスのノーズコーンを採用すると必然的に作り直しになります。
ロータス シリーズ3のノーズを取り付けています。大きなアルミ板を買ってきて、ナベチャンが展開図を作り、切り出して曲げて細かな採寸をしている図です。素人には分かりませんが、縁の折り曲げなどの加工は専門工場にお願いする由。これは試作段階で、本番はまた別のアルミ板で行うそうです。
淵の曲げ加工から帰って来た本番用のアルミパネルです。これからなべちゃんがボディに合うように曲げます。
かなり形成がすすんで、ボンネットのキャッチが取り付けられようとしています。スプリング式ではなく4個ともロック式のキャッチです。よく見ると、これからキャブのエアー取り入れ口を作るための作図がなされています。
それで、エアー ダクトがとりつけられました。リベットに空気抵抗の少ない航空機用が使用されています。
塗装から帰って来たボンネットを置いてみます。
スカットルやノーズとの高さ調整が必要なので仮ですが、エンジン、特にキャブレターとの干渉の様子を検討しています。飛び出しが39mmの純正ファンネルならクリヤーできることがわかりました。右の写真は取り付けようの金具を装着している様子です。
こだわったシリーズ3ロータスセブンノーズとルーバーなしのボンネットの完成図です。
アルミパネルを磨くか、全塗装するか?多少悩みましたが、お手本に近づけるためにも全塗装を選びました。なべちゃんと討論を重ね、”ロータス セブン ツインカムSS”を目指すか”ロータス セブン シリーズ3”を目指すか。ここで決断!””ロータス セブン シリーズ3”を目指すことにしました。
写真はそのためフェンダーやサスペンションなどはずせるものは可及的にはずし、汚れを落とし塗装の準備をしたところです。スカットルははずし、サイドパネルは室内側の上の部分のリベットを飛ばして塗装が入り込むように配慮してあります。
室内は、勿論、塗装しませんがアルミパネルを掃除して、メーターパネルははずしました。そう、シリーズ3に合わせて、好みに作り替えます。リベットを飛ばす作業を自分でやりましたが、イギリス製のリベットはとても硬い!これとは別にネンバープレートの部分の日本製のリベットを飛ばしましたが、ふにゃふにゃに感じました。
はずしたパーツでは大量に不要品が出ています。電装はやり直します。写真はありませんがセンタートンネルのパネルが内側からかなりの力でたたかれた跡があちこちにありました。おそらく、プロペラシャフトが外れて遊んだことがあるのだと思われす。この部分と他にも数箇所、パネルの板金が必要でした。