補器類も取り付けて仕上げます。
補器類の取り付けに先立ち、レーシングエンジンでは定番のジャックシャフトの加工をしました。
このエンジンはOHVをDOHC化したものですので、OHV時代のカムは弁を駆動する役目はなくなり、補器類のみを駆動することになります。燃料ポンプ、オイルポンプ、テスビの3個ですが、燃料ポンプは電磁ポンプに変更しますので、残りの2個のみ。そこで不要な部分を切り落とし、カムの山も削って軽量化を図ります。もともと3ベアリングなので2ベアリングとし、写真中央の残されたギアで例の2個の補器を駆動します。
注意点は、切り落として使わなくなった3個めのベアリングの部分はオイル穴を塞ぎます。そうしないとジャックシャフトへの潤滑がうまくいかなくなるそうです。
市販品もありますが、なべちゃんに加工を依頼しました。美しい仕上がりです。
nomi号では永井のMDIを用いていますが、今回はあえて点火系はルーメニッションとし、デスビはノーマルを用いようと思います。理由は、MDIでは火花が強いのでキャブのセッティングがかなり濃くても問題なく調子良いのですが、逆に、セッティングを勉強しようと思うと味気ないものなのです。苦労をしてみるつもりでMDI導入は見送ります。
ただし、デスビのタイプをしっかり選んで進角が大きいものを使いたいと思います。文献的には、排ガス規制が厳しくなってきた後期はむしろ進角がちいさく、バキュウームで遅角しているくらいです。123イグニッションが流行していますがこれも10度から36度くらいまでが最高で、ノーマルエンジンでは十分ですがレーシングエンジンでは役不足とのこと。
リベットのないレッドローターの方が優れているとのことでノーマルより変更しました。
ヒストリックレーシングエンジンでよく行われる手法とのことですが、インシュレーターをアルミの削り出しで作製しました。ノーマルではベークライトとかミサブのアルミ板+Oリングが多いようです。
約15mmの厚みがあります。インマニは長いほうがよいらしいです。キャブはウエーバーの45を用いますので、キャブ側の径は45mmにきっちり機械加工されています。エンジン側はノーマルヘッドでは40mm程度なので内腔はテーパー加工されています。Oリングで2次エアーの吸い込みを防止するべく溝が切られています。
私に与えらた任務はエンジン側のインシュレーターとインマニのギャップを解消する作業です。折角滑らかに加工されているので、一生懸命リューターを用いて段差を解消します。識者はお分かりと思いますがこのままではキャブは取り付けられないので、スタッドボルトを長いものに交換します。
特注で作るのかと思っていたら、なべちゃんが自分で作るとのこと。
どうやって?写真のように長いUNCボルトを購入して、ネジが切っていない部分を長く利用し、さらにその先にUNFのネジを切ると長いスタッドボルトができる由。なるほど。
と思っていたら、なんと手持ちに少し長めの5/16インチのスタットボルトが都合よくあることが判明しました。そこで、自分でちょうどよい長さにUNCのネジ切りを追加して、長すぎるボルトを切って作成しました。
勢いを得て、エキマニのスタッドボルトをちょうど良い長さに切りそろえました。
さらに、オイルパンを止めるボルトもスタッドボルト化することになりました。
定番のミツバ製電磁ポンプに交換することは言うまでもないのですが、ブロックの機械式燃料ポンプ取り付け口を塞ぐ必要があります。
6mm程度の厚いアルミ板を切り出して作製しました。たんなる蓋であればここに記載する必要はありませんが、今回はブライアン ハートのエンジンに習って、ここからブローバイ用の取り出しを設置することになりました。→ 仕様変更しました。
ブローバイは可及的に高い位置から取るほうが良いとのことで、定番のカムカバー前方に穴を開けて取り出しを設置しました。
この取り出しも定番のものとのことですが、ガスと油が可及的に分離されるように、わざと段差を設ける構造になっています。
ツインカムSSのオマージュとして作成した個体なので、皆の勧めもありホルベイのカムカバーを奢りました。黒の縮塗装としました。
スワールポートは某雑誌に掲載されているロータス セブン シリーズ3 ツインカム SS の写真をもとに、なべちゃんが作製してくれました。
取り付け方やホースの取り回しも、ツインカムSSに習っています。お蔭でヒーターバルブの取り付けに苦労しました。
ヤフオクで手に入れたオルタネーターです。
ブラケットも付属していたので、塗装をやり直してセットしました。上側のブラケットはウオーターポンププーリーなどとのアライメント調整のためなべちゃんがアルミ削り出しでスペーサーを作ってくれました。
ドライサンプ用5ポートのオイルポンプです。
ホースの取り回しが大変です。
エンジン組み立て台での作業がほぼ終了しました。なべちゃんのファクトリーでは写真のような簡易ベンチでエンジンのランニングテストを行います。負荷はかけられないので出力の測定などはできませんが、無負荷で慣らし運転が可能で、オイル漏れなどの点検が車にエンジンを搭載する前に可能です。
私にとっては、エンジンを搭載する作業の予習になります。冷却系、潤滑系、燃料系、点火系、排気系、水温、油圧、タコなどのメーター類の設置を行います。
いよいよエンジンをシャーシに搭載します。
ベルハウジングを介してミッションを接続しエンジン+ミッションを一塊として搭載します。書くと簡単ですが、実際には非常にデリケートな作業です。まず、セブンではプロペラシャフトをトンネル内奥に入れておかないとエンジン搭載後には挿入不可能とのこと。ミッションの尻尾をトンネルに挿入しつつエンジンを降ろすのですが、ギリギリなのでかなり斜めに入れながら、挿入しつつ最終的には水平にします。
余談ですが、一度搭載したのちクラッチ系を組み立ててみると調整のための遊びがほとんどない事が判明したため、もう一降ろして、クラッチレリースベアリングなどを点検し結局10mm程度のスペーサーをワンオフで作製し解決しました。